[ ま え が き ]
お〜い !  みんな元気か〜
朝、君が起きだしてくる。
まず、顔をあらうだろう。
洗面所(せんめんじょ)のじゃ口をひねると、そくざに勢いよく水が出る。
ちょっと待てよ。
この水は、どこから来るのだろう?
自然に流れてくるのか?
そんなうまい話は、ないだろう。
だれかが送ってくれているに、ちがいない。
最近、水道の水が大変おいしくなったねえ。
だれが、このおいしい水を作っているのだろう?
大昔の人は、だれもが山から水を引いて飲んでいた。
平地の人は、井戸を掘って、その水で生活をしていた。
しかし、今はどこにでも水道がある。
大きな川から水を取り、何日もかけて不純物(ふじゅんぶつ)を取り除き、殺菌(さっきん)して配水管に
送り出し、君の家にも水がとどくんだ。 それには大きな設備が必要だね。
さー、しっかりと朝ごはんを食べよう。
君の家では、ごはんかな、パンかな? 
あれ? トースターの電気は、どこから来るの?
炊飯器(すいはんき)の電気は、だれが送ってくれるのだろう?
テレビだって、パソコンだって、みんな電気が必要だよね。
どこで、電気を作っているのかな?
山おくのダムに水をたくさん貯めて、滝(たき)のように流し落とすんだ。
その水の力で、大きな羽根(はね)の付いたタービンを回して電気を起こす。
石油や天然ガスを燃やしてできる蒸気の圧力で、タービンを回して発電する。
また、原子力の蒸気でだって、発電するんだよ。
トイレのあとに流した水は、どこへ行くの?
キッチンでお皿を洗った水は?
下水管に流れ込んで、どこかへ消えて無くなっちゃうのかな?
きれいな水にして川に流すのは、だれがやってくれるのだろう?
よごれた水は、各家庭の下水管から集められて、処理場(しょりじょう)にたどりつく。
そこで、いろいろな技術を使ってきれいな水にする。 それから、川に流す。
みんなの生活に必要な水や電気をつくる仕事をするのが、土木技術者なんだ。
君は、夏休みに、おじいちゃんやおばあちゃんが待っている田舎へ帰るだろう。
お父さんのマイカーは、家を出て間もなく高速道路に入り、そのあと明石海峡大橋をわたって行くよね。
それから、去年の春休みには、お母さんの古里に行ったね。
あの時は新幹線に乗ったね。 たしか、トンネルを出るとまたトンネルで、おどろいただろう。
来年のお正月には、家族全員でハワイ旅行だって?
そしたら、飛行機だ。 関西国際空港から飛び立つんだねえ。
こうして、もっともっと便利になるように道路や橋やトンネルや空港をつくって、いつまでも使えるように
守っていくのも、土木技術者の仕事なんだ。
日本は台風の国だ。 台風は、毎年必ずやってくる。
ひどい大雨が続くと、ときには堤防がくずれて街中が水つかりになることがある。
こんなことが二度と起こらないために、川がスムーズに流れるように改修したり、堤防を強化したりする。
長い海岸線を、高波から守ってやらなくてはならない。
また、港が安全で便利なように改修するのも、土木技術者の大きな役目なんだ。
ね! 土木技術者の仕事って、大きくて、大切で、すごいだろう。
そんな大事な仕事をしてみたい!
君は、きっとそう思うだろう。
それでは、これからいろいろな土木の仕事を紹介してあげよう。
( 文: 金山 正吾 )